七人の侍の舞台裏

名作である七人の侍の実際の撮影現場を見てみたかった願望がある。

七人の侍の衣装デザイン
七人の侍の衣装デザイン

今では残っている写真を見て,その撮影シーンを想像するしかない。

黒澤明の演出や撮影現場の写真を見て,なんとか思いを巡らしてみたい。

千秋実と黒澤明
千秋実と黒澤明

島津恵子や三船敏郎もいる。

志村喬のシーン
志村喬のシーン

後ろにレフ板が見え、カメラの台車がある。すごい群衆の立ち見の中の撮影だったかわかる。

野武士のシーン
野武士のシーン
野武士が村を偵察するシーンに見える。カメラが高く村を見下ろす画面で撮影しているのがわかる。
黒澤明の演出シーン
黒澤明の演出シーン
和やかに真面目に撮影している感じがする。黒澤明の背の高さがわかる。
宮口精二のシーン
宮口精二のシーン

かなり具体的に指示している黒澤明がいる。宮口精二の刀はかなり長いので持ちにくそうだ。

島津恵子のシーン
島津恵子と木村功のシーン

木村功と島津恵子が戦場でちぎりを交わすシーンの演出か?

組まれた木材から小さな納屋だとわかる。二人とも若い。

農民の持ち場のシーン
農民の持ち場のシーン
雨の戦闘シーン
雨の戦闘シーン

泥だらけの中の黒澤の演出。三船敏郎も泥だらけ。

三船の雨の中のシーン
三船の戦闘中のシーン

カメラが真ん前にあり表情をアップで撮っているのか?

木村功が泣くシーン
木村功が泣くシーン

雨の中、戦闘が終わり、宮口精二が死んで木村功が泣きくずれるシーン。ドラマチックな場面で水の雨がすごい。

三船のユーモアのシーン
三船のユーモアのシーン

子供を笑わせる三船の大事なシーン。三船の顔の動きがユーモラスだった。

三船のユーモアのシーン
三船のユーモアのシーン

三船しかできない菊千代のキャラクターだった。

三船の真剣なシーン
三船の真剣なシーン

三船の生い立ちを話すシーン。三船は本当に喜怒哀楽がよく似合う。

宮口精二の剣豪のシーン
宮口精二の剣豪のシーン

一番かっこよかった剣豪らしさのシーン。宮口精二の見せ場だった。いかにも強そうな落ち着いた構えが見事。

七人のカッコよさのシーン
七人のカッコよさのシーン

これから村に行く場面。武士のたくましさと決意の表現。守る村を見下ろす場面。

志村喬の悩むシーン
志村喬の悩むシーン

リーダーの知性を見せる場面か?志村喬の苦悩の表情がわかる。

ユーモアのシーン
黒澤独特のユーモアのシーン

三船が笑われる場面。図解してわかりやすくユーモアを現わす。見事な演出。

 

加賀まりこ 若い時の悪魔的な魅力

加賀まりこのデビューの頃は、神々しい魅力がある。

加賀まりこ
加賀まりこ

加賀まりこは篠田正浩監督の「涙を、獅子のたて髪に」でデビューする。横浜の港湾の労働者の娘と若いヤクザの青年の恋愛ドラマだった。

まだ幼さが残る加賀まりこだったが、藤木孝の歌手の歌声も良かったし、良い映画でデビューできて幸運だった。

次に、篠田正浩監督の前衛映画の「乾いた花」で、金持ちの退屈な令嬢の役を好演した。

石原慎太郎の原作の、虚無的なヤクザの池部良との恋愛がらみのヤクザ映画だった。

加賀まりこはデビューして、すぐに小悪魔的な魅力を演じられた女優だった。

10代で、乾いた花の虚無的な役を見事に演じていて、天才的演技力を身に着けていたのだった。

涙を、獅子のたて髪に 藤木孝と加賀まりこ
涙を、獅子のたて髪に 藤木孝と加賀まりこ

「乾いた花」の手本引きという花札の賭博のシーンの緊張感と、加賀まりこの真剣な瞳が最高だった。

乾いた花 手本引きのシーン 加賀まりこ
乾いた花 手本引きのシーン 加賀まりこ

池部良と若い小娘役の加賀まりこの視線のやり取りが良かった。

乾いた花のポスター
乾いた花のポスター
乾いた花 池部良と加賀まりこ
乾いた花 池部良と加賀まりこ

池部良が少し眉毛を切れ長に描いている。手本引きの後の飲み屋のシーン。白黒画面が美しい。

乾いた花 手本引きのシーンの加賀まりこ
乾いた花 手本引きのシーンの加賀まりこ
乾いた花 手本引きのシーンの加賀まりこ
乾いた花 手本引きのシーンの加賀まりこ
小生意気そうな瞳と幼さがあり、まだ十代だが大人の魅力がある。加賀まりこ以外出せない色気だろうと思う。
乾いた花 加賀まりこ
乾いた花 加賀まりこ
手本引きのシーンは何回かあったが、加賀まりこの不気味さは他の女優では出せないと思った。
乾いた花 加賀まりこ
乾いた花 加賀まりこ

 

乾いた花のシーン 加賀まりこ
乾いた花の令嬢の加賀まりこ

加賀まりこのような昔の映画女優は本当に大人っぽかった。当時の白黒の画面で、より神秘的な魅力を発揮できたのだと思う。

 

愛の渦 池松壮亮、門脇麦 R15指定

2014年映画 愛の渦

愛の渦
愛の渦

とても今の時代を表現している作品。人間関係がクールで、サバサバしていて、いい映画だと感じた。

乱交クラブの一日のいろんな男女のくりなすドラマで、六本木のマンションの一室の設定と店員のドライな対応が、東京の今を現わしていて象徴的。

クールな演出が、セックスシーンもどぎつく感じないので見やすい仕上がりになっている。

密室の男女の人間関係がドラマチックで、とげとげした他人との乱交の違和感と、男女の駆け引きがスリリング。

外見も普通な男女の池松壮亮と門脇麦、魅力的な三津谷葉子、遊び人な新井浩文、テンション高い柄本時生、遠藤憲一などに加えて気の強そうなガテン系の男の駒木根隆介,

女のガテン系の信江勇も加わり個性的キャスト。特に駒木根隆介と信江勇、赤澤ムックの茶髪のピアス女がいい味出している。
男たちは喜んでに好みの女性を指名し、または女性が男性を選び地下の部屋へ降りていく。
愛の渦
愛の渦

しかし地価の部屋は上から見えるし声も聞こえる部屋で、どんな男女の関係が繰り広げられているかが待合室でもわかるのがいい。

現代の一回限りの関係のあっさりさばさばした割り切り方がいかにも東京の人間関係を良く現わしている。

一人の人間も一回限りの使い捨てのような素材として消費されていく。

乱交目的で来ても恥ずかしさが抜けない池松壮亮と門脇麦が程よい距離感でお互いを意識し合っているのが面白い設定。

ひたすら遊びたい男女のなかで浮いた存在になり周りから白い目でみられていく。

お互い全く見ず知らずの男女が一晩の出会いでどこまで自分をさらけ出せるかの駆け引きが見ものだ。

最後は夜だったん冒頭のシーンも朝になり爽やかに開けてゆく。

そこで男女もまた気持ちを切り替え仕事に行き一晩の出会いを忘れて日常生活に戻っていく。

この一晩の冒険も夜が明ければ微塵も残さずに仕事に行く様子が現代の割り切った関係の人間関係をうまく表現していて爽やかに終わる。

激しい描写をあるが基本はドライな関係なのであっさりした印象でわいせつな映画を見たという印象は残らない。

このあっさり感が今の風潮なのだと感じられてユニークな映画だと感じた。

日本の代表的俳優は三船敏郎

日本を代表する俳優というと三船敏郎で、映画で見栄えするという前提がまずあります。

三船敏郎
三船敏郎

テレビでは存在感が弱いし、映画の大画面で目立つ必要を感じます。

顔の力と存在感の強さ、映画の巨大スクリーンで映えるという、全体的な雰囲気も必要です。

勝新太郎や高倉健、渥美清、三船敏郎などはその個性的な存在感で文句ないところでしょう。

勝新太郎
勝新太郎

座頭市の名演が有名です。

高倉健
高倉健
三国連太郎、緒形拳、石坂浩二、菅原文太、仲代達矢、田村正和などはもちろん入るでしょう。
西田敏行、山崎努も存在感と顔の迫力で入るでしょう。
三国連太郎
三国連太郎

 

渥美清
渥美清
日本を代表的する俳優として華がある事、元気なオーラがあることも大事です。

元気のないオーラでは、とても大スターとは言えません。

最近の俳優では、佐藤浩市、渡辺謙、役所広司、松田優作、ビートたけしなども入れたいところです。

ビートたけし
ビートたけし

ビートたけしは決して演技はうまくはないですが、存在感が凄いです。

他の俳優にはないオーラがビートたけしには感じます。

 

男優の場合は、アクションが出来ると、より魅力が増します。

しぐさがカッコイイというか、絵になることも大切です。

見ていて、しぐさがカッコイイことが見せる要素として欠かせません。

勝新太郎の座頭市は本当にしぐさがなめらかで、ほれぼれします。

若手では山田孝之が、一番輝いていると感じる俳優です。なんでもどん欲に役にのめりこみ、重厚な演技を感じさせます。

今では珍しい、不器用でスマートさを感じない俳優です。

山田孝之
山田孝之

井浦新も演技力とオーラが凄いです。怖い演技には他では代えがたい迫力があります。犯罪者では一番凄みを感じる俳優です。

アイドル系の整った顔では重厚さが無く、イケメンだけでは日本を代表する俳優としてはダメでしょう。

イケメンの要素があるのは田村正和と佐藤浩市ぐらいでしょうか?

この中で映画の画面での映え方と存在感は三船敏郎が1位で、高倉健が2位、勝新太郎が3位となるでしょう。

三国連太郎や緒形拳は、危ない魅力というか、狂気を感じる危なさが魅力です。

コミカルな魅力では、渥美清、西田敏行です。

シリアスなドラマでは、山崎努、仲代達矢、渡辺謙、ビートたけしと言った感じになります。

クールな魅力で、佐藤浩市、井浦新、田村正和でしょうか。

井浦新
井浦新

アクション性で、三船敏郎、高倉健、勝新太郎、松田優作、菅原文太、山田孝之。

知的な魅力で、石坂浩二、田村正和になります。

これからの俳優もテレビだけにならないで映画でも頑張ってほしいと思います。

日本の美人女優とは

日本の女優で主役をやれる演技力があり、美人で華やかさがあるのは誰かと考えました。

岩下志麻
岩下志麻

岩下志麻は暗さのある情念を感じる女優、しかも可憐さがある。強い生きざまと執念を感じる強さを感じます。

卑弥呼を演じた岩下志麻
卑弥呼を演じた岩下志麻

卑弥呼のような女の情念を前面にだした演技もできます。それでいて可憐な役もできる。最強ではないかと思います。

倍賞千恵子、松坂慶子、岩下志麻、高峰秀子、吉永小百合、藤純子などが代表的主役級女優になると感じます。

山本陽子、酒井和歌子、大原麗子など挙げたらきりがないです。

選ぶ基準としてはアイドル的な役割の女優じゃなくて、演技によって主役を張れる女優という基準で選ぶことになります。

酒井和歌子や松原智恵子、内藤洋子などはアイドル的なので失格です。過激な演技はありません。

日本の女優というと和服姿が似合うことも大事な要素だと思います。着物姿が絵にならなければいくら美人で華があっても厳しいでしょう。日本の美学がそこにはあります。

現代の女優の綾瀬はるかは、着物を着こなす魅力はまだ今一つもの足りないでしょう。年齢と性格的にまだ、綾瀬はるかは、落ち着きがない気がします。もちろんアクションは素晴らしいです。アクションで比べられる女優はいないと言っていいでしょう。

美人だけではダメで、お飾りのようなアイドルでは、もちろん失格である。

現代の女優で演技力というと綾瀬はるかぐらいの実力が無ければだめで、北川景子は失格である。演技はまだまだこれからである。

若尾文子など映画がヒットしてシリーズ化されるぐらいの主役となると、八千草薫も岸恵子も司葉子もダメで、山田五十鈴は美人とは言えないし、結局、田中絹代ぐらいの演技力を求めてしまう。

今を時めく、石田ゆり子も演技力はまだまだこれからであろう。お嬢さん的な感じがしてしまう。

最近では、沢口靖子が演技力が出てきていい女優さんになったと感じる。

伸びていく要素を今、一番感じる女優さんである。

高峰秀子
高峰秀子

演技力では最も実力がある。クールな役からコミカルまで何でもできる。

松坂慶子
松坂慶子

松坂慶子の演技はイマイチだけど華やかさと妖艶な色気がある。

倍賞千恵子
倍賞千恵子

倍賞千恵子は冷たい演技が似合う女優。寅さんでは真面目な庶民の演技が板に付いている。

岩下志麻
岩下志麻
岩下志麻は日本美人の典型で何を演じても迫力がある。
吉永小百合
吉永小百合
吉永小百合は演技派イマイチだがやはり画面で映える。華やかさはダントツ。夢千代日記は見事な暗さを出している。
藤純子
藤純子
藤純子はアクションが出来る女優。可憐で弱さがある。
沢口靖子
沢口靖子
沢口靖子は最近実力がついてきた。熱演が多い。なんでも誠実に着実にこなせる女優になった、安定感がある。

復讐するは我にあり

1979年今村正平監督の復讐するは我にあり

復讐するは我にあり
復讐するは我にあり

実際にあった連続5人殺人事件で、長期間逃亡できた犯人像を佐木隆三が小説にし、それを今村監督が映画化権を競合の末、勝ち取った。

主演の緒形拳が、狂気をはらんだ性格の犯人像を見事に演じている。

父親役の三国連太郎も緒形拳に負けず、怪演を演じる。

舞台が九州で、九州弁の方言が生きており、乱雑な男らしさと、ぶっきらぼうな口調が強調される生々しい効果を出していると感じられた。

佐木隆三はドキュメンタリー作家であり、九州出身でもあることから、この作品が土俗的な九州人気質を芯から理解していることで言葉に深みが出る。

緒形拳の父親役の三国連太郎が、キリスト教信者であったり、緒形拳が子供時代に家がキリスト教がもとで、軍人から不当な扱いを受けていたことを不合理に感じていたこと、など犯人の生い立ちのエピソードが入る。

しかも緒形拳が子供時代から破天荒な性格で、いかに連続殺人鬼になったかが読み取れるエピソードが描かれてゆく。

一番の原因である、緒形拳が刑務所に入っている間に、緒形拳の嫁と恋愛関係に落ちた三国連太郎演じる父親である。

クリスチャンの十字架のネックレスを持ちながら、息子の嫁と関係が出来てしまう三国連太郎演じる親父のだらしなさが一番のこの事件の原因である。

刑務所から出てきて、緒形拳が呆然とあっけにとられるのも理解できるし、殺人鬼になるのも納得がいく。

それにしても緒形拳の飄々としてぶっきらぼうな殺人鬼ぶりが見事で、不意に恋人さえも殺してしまう殺意の衝動が緒形拳だと普通に理解できてしまう説得力がある。

大学教授に扮したり、弁護士に成り切ったり、すごい堂々と変装する必然性が緒形拳だと演技がうまいので納得がいってしまう。

あまりにも堂々と大学教授になりきって旅館に泊まるなど、普通の人間なら、おどおどしてしまうが、あまりにも堂々としたしぐさや言葉使いが、疑わせる余地を感じさせない。

緒形拳の見事な演技力である。

しかし電話ですぐにその人物になり切り、周りの人々に疑われないように嘘をつき裏付けをするところなどは、犯罪者として長期間逃亡が成功した抜かりない周到さを持っている。頭もいいのである。

他の俳優陣も、清川虹子の元殺人を犯したおばあさんや、旅館の嫁の小川真由美、緒形拳の女房役の倍賞美津子など濃厚な俳優陣で、この狂気の連続殺人鬼を生かした名演技を繰り広げている。音楽も劇的な犯罪映画らしく観客を誘導する効果が効いている。

今村正平の濃厚さが、最大限に発揮された映画として名作映画に間違いないと感じた。

浮雲 成瀬巳喜男

浮雲
浮雲

成瀬巳喜男監督の浮雲はやりきれない悲しみの映画。

浮雲
浮雲

本当にやりきれない恋愛映画である。

1955年成瀬巳喜男監督、主演森雅之、高峰秀子、林芙美子の原作映画「浮雲」。

男のダメぶりを知りながら好きなんだという感情に流されて落ちぶれていく女。

高峰秀子の暗さと森雅之の暗さがかみ合って、気だるい雰囲気を醸し出している。

ダメ女ぶりが高峰秀子のイメージにぴったりで、下向き加減の視線が負のオーラを放っていてなんとも言えない感情表現がうまい。

森雅之も元々暗い雰囲気の俳優だが、この映画では知性がありながらダメな男を見事演じている。羅生門よりもよっぽど様になっていると感じる。

岡田茉莉子も綺麗で絶頂期の感じでいかにも浮気相手にふさわしい魅力を放っている。

加東大介もいかにも浮気されるダメ亭主にピッタリである。

この負のオーラは日本人が得意とする持って生まれた感情というか昔からの諦めの思想がある。

良いことは長くは続かないという諦めの思想が日本人に染みついている。

そして浮気をしてしまう森雅之の男の悲しい性と、それを知っても好きという感情に流されてしまう高峰秀子の女の弱さ。

このどうしようもない、日本人の暗い退廃的な思想が、全面的に描かれたのが「浮雲」であり、これほどやりきれない映画でありながら、人気がある映画であり続けているのは、まさに日本人の体質が基本的にこの負の感情を持っているからである。

普段は隠していても心の奥に好き、という感情に流されて自由に生きてみたい、という観客の心が隠し持っているものを、表現しているからに他ならない。

そこに負の要素を持った高峰秀子と森雅之が起用されて相乗効果になり、より暗さが強調された映画になったのだと思う。

暗い、悲しい、好きな人と一緒に居たい、という感情に流される快楽的な生き方を映画で味わえた、観客のカタルシスがこの高評価につながっていると思った。

小津安二郎が、俺には撮れない写真だ、と言わしめたという、とことん暗い日本人特有の映画になったのだ。

赤頭巾ちゃん気をつけて 70年代の受験生の1日

1970年庄司薫の原作を映画化。現東宝社長の岡田裕介がスカウトされデビュー、慶応大学生だった岡田が石坂浩二に似ていることからスカウトされたのがきっかけだったらしい。

赤頭巾ちゃん気をつけては1970年代の日比谷高校の3年生の一日を描く映画。

赤頭巾ちゃん気をつけて
赤頭巾ちゃん気をつけて

安保闘争で東大入試が中止になり、東大受験を断念しなければららなかった憂鬱な高校三年生の一日。

ガールフレンドとレストランで食事をしたり、テニスをしたり見事なおぼっちゃまぶりが鼻に着く演出。家にはお手伝いさんが居たりお金持ちの高校生の生活ぶりに驚く。

高校生が銀座のレストランで食事デートしているシーンがまず驚く。

クラシック音楽の話や哲学者の話など当時の教養の深い日比谷高校の学生の実態が良くわかる。

ワーグナーやヘーゲルなど難しいことを友人と論じたりして、いわゆるシラケ世代と言われる70年代世代の学生時代の生活がわかるだけでも意味のある映画だった。

家にお手伝いさんが普通にいる家庭というものも驚く、金持ちとはこういう生活を送っているのか?ただただ感心する。

当時の東宝社長の息子である岡田裕介の暮らしぶりを再現したような映像は今の高校生とは余りにもかけ離れていて笑ってしまう。

公立高校なので地味な暮らしをしているがやはり金持ちという身分は変わらない。

本当に石坂浩二に似ていて岡田裕介を見るだけでも面白い。

当然素人俳優なので岡田裕介も恋人役の森和代も演技は見れるレベルではないが当時の70年代の東京の銀座の街頭の様子は懐かしいし、旭屋書店も出てきて懐かしい銀座に浸れる。

高校生の不安定な揺れ動く心理が社会を冷ややかに見ていて、青年期特有の感情が共感できる。

病院の女医に妄想するシーンなど高校生特有の感覚でユニークである。

80年代のTBSテレビの「青が散る」という宮本輝の原作の石黒賢のテレビドラマとかなり共通した学生もののドラマで、石黒賢の初々しいデビュー作だったのを思い出させる。

学生時代の恋愛事情と揺れ動く微妙な感情は大人になると忘れてしまう。

この映画を見ていると青年の純粋で傷つきやすい心が良く出ていて共感する部分がかなりあった。

やはり日比谷高校の生活に1日でも体験したい憧れてしまう映画であった。

涙を、獅子のたて髪に 加賀まりこ主演

 涙を獅子のたて髪に 加賀まりこと藤木孝

涙を、獅子のたて髪に
涙を、獅子のたて髪に

1962年篠田正浩監督 涙を獅子のたて髪に 加賀まりこ、歌の上手い藤木孝、南原浩二、岸田今日子他の映画。

加賀まりこのデビュー作と言える作品。当時歌手としてデビューしていた藤木孝との共演で横浜の港を舞台にした悲しい恋物語。

当時の山下公園付近の映像が懐かしい白黒映像で見られるのが魅力。

デビューしたての初々しい加賀まりこが幼い魅力と上目遣いの瞳がかわいい。

藤木孝をチャキリス張りというギョージ・チャキリスを真似た叫ぶような歌い方が映画の中で見ることが出来るのが一番のこの映画の見どころだ。

ミュージカル映画のように藤木孝の歌が幾つか見ることが出来るのがこの映画の最大の見せ場だと思った。

当時の歌手のうまさはハンパなかった。レベルの高さが良くわかる。今のアイドルに見てもらいたい映画である。

加賀まりこの魅力も凄い。大きい目と厚い唇はバービー人形のような魅力で横浜の港と良く似合って最高の映像になっている。

岸田今日子も金持ちの奥様役で大人の魅力を放ち、藤木孝を誘惑する役を演じている。

当時の横浜の港の港湾労働者とその会社のピンハネの問題で対立した港湾労働者が組合を作ろうとするが藤木孝の管理する会社が妨害を阻止する目的で労動組合員を誤って殺してしまう。

その殺した労働者の娘が藤木孝の恋人の加賀まりこだった。

藤木孝は加賀まりこの父を殺し逮捕されて二人は別れるという悲しい物語。

映画のタイトルバックも凝った作りで藤木孝がゆがんだ映像でタイトルバックが流れる冒頭は中々の映像処理で凝っていて惹きつけられる。
タイトルバック
タイトルバック

寺山修司がシナリオに参加している。

篠田正浩監督はその後「乾いた花」で再び藤木孝と加賀まりこを共演させ、横浜を舞台にしたヤクザ映画を撮ることになる。池部良主演。

さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち 泣ける映画

さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち アニメ映画の古典的作品。

さらば宇宙戦艦ヤマト
さらば宇宙戦艦ヤマト

1978年作品「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」アニメ映画の古典的作品。

松本零士の原作。前回の宇宙戦艦ヤマトのヒットを受けて製作されたヤマトシリーズ第2段。

古代進と森雪の恋愛も絡んだ対戦ものアニメ映画。70年代には松本零士の宇宙ものが流行り、銀河鉄道999や、キャプテンハーロックなどのアニメが全盛期を迎えていた。

アニメ雑誌が発売され、アニメオタクが登場したのも70年代だろう。その中で宇宙戦艦ヤマトシリーズは映画化で大ヒットした。

島大介派か古代進派かファンは分かれていた。当時は松本零士の女性像が流行っていて、痩せてタレ目、長い髪に長いまつげの女性が人気だった。

か弱い女性の典型だった。戦艦ヤマトを宇宙に行かせる発想が、かっこ良く、波動砲という武器や、ワープという空間を一瞬で移動するのがかっこよかった。

タイトルソングも大ヒットして、この映画のサウンドトラックも売れに売れた。

私も買ったが、宮川泰夫のオーケストラの音楽が宇宙的なロマンを見事に表現していた。

特に白色彗星のテーマが良く、パイプオルガンの重低音が映画館で響いた時は、恐ろしい振動が館内に響いた。

艦長も沖田という名前で、土方という技術者もいて、新撰組の様な感じがした。

どこかアニメでも戦艦ヤマトは、新撰組の様な日本の歴史的題材を上手く応用していた。ライバルのデスラーという敵を設定して、リベンジ物語にもなっていた。

見どころは古代進は艦長であるために最後まで生き残るが、それが仲間の自己犠牲のために生き残ったという事実である。

斎藤が敵の銃弾を受けながら古代を逃がすシーン。

真田が時限爆弾をしかけて古代を逃がした後、爆死するシーンが回想される。
艦長を守るための自己犠牲のシーンに胸を打たれる。

古代進は最後に敵の艦船に突入して死んでいくが、その時に死んでいった仲間の回想シーンが流れるところで、一気に涙が流れてしまう。

さらば宇宙戦艦ヤマト
さらば宇宙戦艦ヤマト

恋人の森雪も最後に死んでしまい、最後の死の旅に行く古代の戦艦ヤマトごとの体当たり特攻の場面は泣かされてしまう。

日本人はお涙頂戴映画が好きだが、この映画もアニメでありながら見事に泣かされてしまう。

最後はヤマトが敵に特攻隊の様に突っ込んで敵味方共に滅びる悲しい結末だったがその神風特攻隊の様な最後も日本的で良かったとしても思う。

懐かしいアニメ映画であり、名作である。

キムタク版実写映画でリメイクされた。